完璧主義(をさけるために)

 勉強の世界も同じである。
 「必要な情報がすべて記載されている理想の教科書」
 「1分の無駄もない理想的スケジュール」
 「どんなテストでも100点が取れる理想的な自分」――。そんなものは、この世には存在しない。誰も神様にはなれないのである。

 人間には、いつでも、時間・環境・能力の制約がある。現存する制約を無視して、理想の実現にこだわろうとする「完全主義」は

(1)勉強の進みが遅く、最後まで終わらず、いつまでも全体像が見えない
(2)力を集中させるべき場所が分からず、また、複数の課題があると、異常に力のこもった課題と手つかずの課題が生まれてしまうなどなど何をやってもバランスが悪い
(3)失敗を恐れるあまりトレーニングを怠り、知識が定着しない
(4)ちょっと失敗すると、かんしゃくを起こし、八つ当たりする
(5)悩み始めると、勉強に対する興味を失い、勉強を放り出す

 というロクでもない主義である。いや、「主義」というほど高尚なものではなく、細かいところが気になって仕方がない嫌な性格に過ぎない。(1)から(5)までの2つ以上に該当する人は、完全主義的性格の持ち主であり、矯正が必要である。

経験の裏打ちのない抽象的な理想など設定しない。目の前に見える目標を設定し、10分単位の短い時間の中で、とりあえずOUTPUTを中心とした勉強をして鍛える。OUTPUTによって間違いが分かれば、その間違いだけを勉強し、自分の欠点を把握する。100点を目指さず、今の自分よりも1点でも多く取れるようになれば、良しとする。

 時間内にやった仕事に対して、他人から「やっつけ仕事だ」「ミスがあるぞ」と非難されるかもしれない。それでも、「時間が1番、品質2番、3時のおやつは○○堂」と開き直ることができる。

 脱時空勉強術は、「時間が1番」と考えるからこそ

(1)勉強や仕事の進みが早く、不完全ながらも最後まで終わり、全体像が見える
(2)全体像が見えるから、バランスのよい課題処理ができる
(3)失敗を恐れずトレーニングするから、知識が定着する
(4)失敗するのが当たり前だから、かんしゃくを起こさない
(5)失敗が多くても、現状より1歩だけでも前進することを目的としているから、途中で勉強を放り出さない

http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20070824/133098/ から。